剪定とは

樹形を維持し整えるために、成長して伸びた枝を切り落とすことを指します。「木はありのままの形(自然形)がベスト」と言われることもありますが、何らかの意図をもって植えられた木は生活空間にあった姿が存在します。目隠しのためなら枝数を多く、玄関前ならスッキリさせるといったように、役割に応じて樹形を整えることが剪定作業の目的です。
剪定のメリット
剪定を行うことで、見た目がスッキリするだけでなくいくつかのメリットも生まれます。
風通しが良くなることで木が病気になりにくい
屋内でも湿気が多い部屋ではカビや雑菌が繁殖してしまうように、樹木も通気性が悪いと様々な病気を発症してしまいます。代表的なものは、葉や幹が黒いカビに覆われてしまう「すす病」というものです。光合成能力が著しく低下してしまい、最悪の場合枯れることもあります。このような事態を防ぐためには、木の内部の込み合った枝を取り除いておかなければなりません。
果実の質が向上する
柿や梅など、果実を楽しみたい場合は実の量と質のバランスを考慮する必要があります。果樹は主に前年に伸びた枝、もしくは2年以上経過した枝に花が咲き実をつけることがほとんどです。そのため、今年伸びてきた枝(当年枝)ばかりが茂っていると花や実に栄養が届かず、収穫量が落ちてしまいます。
観賞用であれば問題はありませんが、食用として楽しみたい場合は必須な作業と言えるでしょう。より上質な果実を収穫したいのであれば、早い段階で数を厳選するように剪定してみてください。
伸ばしたい方向に木を成長させることができる
木の成長は自然の力にゆだねられているという認識があるかもしれませんが、実は枝の切り方や位置によって樹形を自在に操ることができます。それぞれの木に適した基本樹形というものがあり、植栽した場所や木の大きさによって臨機応変に整えていくことが庭師の役割のひとつです。
刈り込みとは
生垣(目隠しや仕切りのために作られた樹木のフェンス)や円形・円錐形など人工的なシルエットの庭木を整えることを指します。トリマーや刈り込みハサミを使用して、面をきれいに整えることが目的です。刈り込みをしていくと次第に枝や葉の密度が高くなり、形状も安定していきます。
刈り込みのメリット
刈り込みをして樹木を整えると、自然界では見られないユニークな樹形にすることができます。特に西洋庭園では、常緑樹や低木を動物などの形に造り上げた「トピアリー」が一般的です。個性的な庭を造れるという点で憧れを持つ方は多いでしょう。